夜物語




夜毎愛され、教え込まれた。
語り聞かせるように優しく、そして執拗に、何度も繰り返し身体に刻み付けるように。


「・・・ん、ぁ」
「克哉」
ちゅ、と鎖骨を吸われて甘えたような声を漏らすと、応えるように名前を呼んでくれる。
纏うもののない素肌に、自分と同じくらい熱い体温を感じて嬉しくなった。
御堂が自分に欲情している。
そう感じるだけで鼓動は早くなり、身体が一層熱を含んで。

「克哉」

また、名を呼ぶ低く掠れた声。
その声に呼ばれるだけで、身体の奥がじわりと痺れて欲情が泉のように溢れ出す。
しあわせすぎてめまいがしそう。

「・・・・・は、い。御堂さん・・・」
「いい子だ」
耳朶に挿し入れられた舌に濡れた音を立てられて、小さく喘いで身をくねらす。
その様子に微かに喉を震わせて、御堂は克哉の瞳を覗き込みながら口角を上げ、優しい声で命令する。

「克哉・・・・・脚を開け」
「・・・はい」

言われるまま、くっつけていた膝をゆっくりと離して、恥ずかしい部分を奥まで晒す。
途中で脚が止まってしまうと「もっと」という短い言葉を投げられて、関節が震える限界まで大きく開かされた。
羞恥に耳まで熱くなったけど、逆らうことは出来ない。
甘い命令は心と身体を縛り付けて、どこにもいけないように支配してしまう。
御堂の視線が身体の上を這っていく。
唇から首筋、鎖骨、胸元の尖りを舐めるようにねっとりと下がって、腹筋、脇腹、思い切り曝け出した恥部。
まだ何もされていないのにそこは角度を持っていて、絡まる視線を感じて一層硬くなる。
無防備に晒した胸の尖りも、ぷくりと勃ち上がって触れなくてもじりじり痛い。
息が荒くなり、シーツを握る指に力がこもった。
恥ずかしくてどうしようもなくて、縋るような上目遣いで自分を捕らえる男に視線を向ける。
彼は心底愉しそうに笑っていた。

「もうそんなにして・・・・・いやらしい」
「みど・・・さ・・・・」
「克哉」

その声はオレを縛る。

「言ってみろ」

動けなくして、心の奥を暴きだして、そこにある淫靡な感情をなぞる。
欲しいものがあるなら、自分の口で言葉に乗せてそれを自覚しろ。そう教えられた。
自分がどんなに淫らな欲望を持っているか、晒してみせろと。

「っ・・・オレ、を・・・気持ちよく、して・・・・か、可愛がって、くだ、さい・・・」

震えそうになる声でねだり、羞恥に耐え切れず真っ赤になった顔を背ける。
くす、と笑う気配がした。

「・・・それでいい」
「っ・・・・・あ・・・」

情事の最中、御堂はよくこの言葉を口にする。淫らにねだる姿を褒めるように、愛おしげに。
それだけで慣らされた身体は悦びに震える。
衝動のままに自分から舌を差し出し、まだ開かれない唇をなぞるようにゆっくり舐めた。
誘うように唇の隙間にねじ込むと、ようやく熱く濡れた感触に触れる。
恐る恐る絡めた舌はすぐに御堂のそれに捕らえられ、吸われ、舐められ、くちゅりと音を立てて甘噛みされる。

「っん・・・・ぁう・・・ん・・」

主導権が移ったのを感じて力を抜くと、這い回る舌に頬の裏や上顎の部分まで舐め回されて、気持ち良さに声が漏れた。
飲み込まされた唾液が甘く感じる。

「っは、あ・・・御堂さん・・・みどうさ・・・・ん、すき・・・・すきぃ・・・」

応えるように動き始めた指先が、視線で煽られ敏感になった肌を撫ではじめた。
その動きはひどくいやらしくて強引なのに、隠し切れない愛情と優しさが滲み出ている。
この肌が、この身体が、克哉が愛おしくて仕方がないと、雄弁に物語る。
快感のままに高く上がりそうになった声を反射的に飲み込むと、咎めるように自身を強く握られた。

「っ、ぁ!やぁっ・・御堂さ・・・」
「教えたはずだ、克哉・・・・・私の言うことが聞けないのか?」

冷たい言葉の筈なのに熱を孕んで聞こえる声に、身体が疼いた。
逆らうことなんて出来るはずもない。
ゆるゆると唇を開くと、すぐに熱い吐息と濡れた声が零れ落ちる。

「・・・ん、ふぁ・・・・あっ、い、いい・・・きもちい・・・・御堂さ・・・あぁ、ん・・・」
「どうして欲しい?」
「もっと、して・・・いっぱい・・・っ、んぁ・・・・すき・・・みど、さ・・・」

感じたままに声を上げる。快感を我慢してはいけないという命令に、忠実に従順に。
甘い嬌声が上がるのに満足したように、ぐずぐずに蕩けている中に這入り込むものを感じた。
快楽に零れた体液で濡れたそこは、拒むことなく挿し入れられた指を咥え込む。
柔らかく締めつけて、離さないとばかりに奥へ誘い込んで。
身体も心も御堂を求めてやまない。他ならぬ彼自身がそういう風に自分を変えた。
いやらしく腰を振って、甘えた声で懇願する淫らで浅ましい姿。

「・・・孝典、さん・・・・おねがい・・・はぁ、んっ・・・そこ、もぉ・・・・」
「もう?」
「ぁっ・・・・いれ、て・・・・たかのりさん、の、オレの・・・中に・・・・・」
「入れるだけで満足か?」
間違った言葉を正すように、頬を撫でながら視線で縛る。

「いれ、て・・・・・オレのからだ、掻き回して・・・突いて・・・・・ぐちゃぐちゃに・・・してください」

切れ切れに訴えると、御堂は愉しそうに喉を震わせた。
その表情に滲む艶と凶暴な程の欲望の色に、ぞくぞくする。

「随分可愛いくねだれるようになったな、克哉」

からかうような言葉と共に、待ち望んでいたものの先端がぬるりと入り口に押し当てられた。
途端、そこはひくひくと震えてその熱を咥え込もうとする。
「っ、あ、孝典さん・・・はや、く・・・・ぅ・・・」
我慢できなくてそこに押し付けるように身を捩ると、御堂の表情が僅かに歪んだ。
「克哉」

その貌に、自分の中の熱が燃え盛るのが分かった。
ヒクつく其処にこれを挿れたくて堪らない、挿れて、掻き回して、突き上げて、ぐちゃぐちゃにしてやりたいと語る瞳。
背筋を震わす欲望に猛った貌。
ぞくぞくと全身が震え、痛いほどに張り詰めた自身がぴくりと跳ねた。
この貌が好きだ。オレだけを求めて、餓えて、ただオレを貪ることだけを考えている貌。

あなたがオレを欲しがっている。
ぞく、と身震いした瞬間、一気に全身を貫く衝撃に襲われた。

「ふ、あああぁっ!あうっ・・・!」
「っ克哉・・・」

名前を呼ぶ掠れた声に煽られて、御堂を咥え込んだ肉がきゅうっと締まった。
ぐちゅぐちゅと響く水音に聴覚まで犯されながら、全身を揺さぶられる。
気持ち良くて幸せで恥ずかしくて、でもやっぱり気持ち良くて、すべてが真っ白になった視界には御堂の姿。
恥ずかしい姿を晒していると分かっていても止められず、夢中になって腰を振った。

「ひぁ、ん・・・!いいっ・・・はぁっ、たかのりさん・・・すき、です・・・大好き・・・・っ」
「克哉・・・」

最奥まで深く貫かれ、全身が密着するように抱きしめられて、強引に唇を塞がれた。
ぞくぞくと快感で背筋がしなる。
いつからこんな身体になってしまったのだろうと思う。でもそれは不快ではない。
全部、御堂が望むことだから。
淫らにねだって、感じるままに声を上げて、全身をすり寄せて彼を求める。
こんな身体にしたのは御堂だから。

「っ、ぁ、ああぁっ!」
耐え切れなくて、どくりと欲を吐き出す。
次の瞬間、御堂の低く掠れた声と、自分の内側を満たす熱い奔流を感じて、うっとりと眼を閉じた。
何回か突き出すようにして最後の一滴まで注ぎ込み、御堂がゆっくりと腰を引く。
「・・・・・・・・克哉?」
意識を失ったと思ったのか、少し心配そうな色を帯びた声。
ゆっくりと瞼を上げる。これだけで終わってしまうなんて、もったいないことはしない。
まだ足りない。これだけでは、満足なんて出来るはずない。

そんなからだにしたのは

「・・・たかのり、さん」
「何だ?」
「もっと・・・・・」
呟いて、目の前の唇を貪るように舐める。彼もすぐに応えてくれて、くちづけはすぐに深くなる。
「もっと、欲しい」
吐息混じりに零れた声はどちらのものだったのか。

「・・・・・何度でも、たっぷり可愛がってやる・・・克哉」

欲望に掠れた声で囁かれて、その台詞だけでイきそうになる。
そんなことを言ったら、彼は呆れるだろうか。





夜毎愛され、教え込まれた。
語り聞かせるように優しく、そして執拗に、何度も繰り返し身体に刻み付けるように。

―――オレがあなたに、あなたがオレに、どれだけ溺れているか。










*あとがき*
調教・・・?って感じですね。すいません砂糖とえちの配分を間違えました。
一応自分の中の御克基本イメージというコンセで書いてみました。
やっぱりED後の御克は甘くなきゃ!と思うんだ。






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